明日香の景色

  • 2016.06.30 Thursday
  • 23:08
JUGEMテーマ:読書

 

 折口の『死者の書』は好きな小説ですが、色々疑問に思う点があります。

 その第一が、平城京の東城・右京三條第七坊から二上山って見えるのだろうか?と言う事です。

 私、幼少時は奈良の北の方に住んでいたのですが、西側には生駒山が見えて、まぁいいとこ信貴山位までしか見えないのではないかと思うのですね。

 ほかの風景描写は結構実際と変わらないのですが、そこだけがちょっと疑問です。

 

歌碑 さて、私の職場の近くに「みずし観音」と通称される妙法寺があります。

 観光案内に載っている割に、どんな所なのか知らなかったので、買い物の通りすがりに寄って見ました。

 

 ここ、今は小さなお寺ですが昔は大きな伽藍だったそうで、吉備真備が唐より無事戻った御礼で創建されたそうです。一願成就の観音様だそうです。

 私が行った時には観音堂(?)の扉は閉じられていて、人気もありませんでした。

 ここって開帳される時ってあるのでしょうかねぇ?

 

 そのお寺の横に万葉歌碑がありまして、それが大津皇子のあの有名な

 

「ももづたふ磐余の池に鳴く鴨を

    今日のみ見てや雲隠りなむ」

 

 なのですね。ここは磐余の池の伝承地なのだそうです。

 

磐余 ‥‥と、言いましても「磐余の池」の跡はここだけではないんですよね〜〜。

 磐余の池は万葉時代の悲劇の舞台なので、双方譲らないようです。

 

 まぁ、西北西に二上山を臨む景色、現地の何とも言えない寂しい風景は、雰囲気にぴったりなのです。

 

 明日香に住んでいると、教科書で目にする名前が結構あちこちにぽろっと出て来るのが面白いですね。

ここんとこ読んだ本(2012年12月)

  • 2013.01.07 Monday
  • 23:41
 JUGEMテーマ:読書

 去年は何だか慌ただしくて、ブログに読書記録を付けてないわ〜〜!
 ブクログの方は、気が向いたらレビューも載せていたりするので、よかったら下の本棚から見てやってくださいませ。

 年末‥‥というか、まぁ、去年1年間で一番面白かった本を紹介。

・「風雲児たち〜幕末編」(20)〜(21)みなもと太郎
 いや〜〜〜、ホンマに面白かったです。
 桜田門外の変の前夜編と当日編です。
 安政の大獄の始まりである孝明天皇からの密勅(戊午の密勅)の降下が(16)だったので、6巻かけて桜田門外の変への事情を描いているわけです。
(16)では幕府の井伊大老、京都での一橋派、水戸藩内外での駆け引きが描かれ、(17)〜(19)は安政の大獄での犠牲となった人々の物語を描いて来られた訳です。
 (20)の水戸浪士に巻き込まれまいと策略を巡らす大久保一蔵や、密勅返納の是非に揺れる水戸藩を描き、(21)でいよいよ桜田門外の変の当日になったわけですが‥‥‥凄いです。
(20)では、作者の実地検分の話が入ってまして、それが結構面白いのです。
 井伊家から襲撃現場まで600歩しかなく、走って井伊家に戻れば1分かからない、どう考えても井伊家有利で、計画がズサンすぎる!奇跡でも起こらない限り、無茶だ!!と、のたまわった後で、その夜、季節外れの雪が降り出した‥‥で、終わってるんですね。‥‥えげつないクリフハンガーですよ。
 で、(21)。
「見張りを立てる、それだけで惨劇は阻止出来た!」
「襲われる心配なんて、だ〜れもしてはいなかった」
 という作者の洞察も入り、おそらくは3分間ほどだった襲撃の有様を、それは事細かに(多少のグロ描写もありで)描いています。
 映画の「桜田門外の変」より詳しいかもです。
 1冊のほとんどが当日の襲撃、その後の浪士、井伊家、幕府と1日の出来事で占めております。
 桜田門外の変について詳しく知りたい!というなら、この2冊がオススメですね。

 ちなみに私、あまりの面白さに4〜5回位読み返しました。
 続きが楽しみです。

 長男は「まどマギ」のパロディがあるのに、感心しておりました。

ここんとこ読んだ本(2011年10月〜12月)

  • 2012.01.05 Thursday
  • 00:24
 JUGEMテーマ:読書

 読書‥‥していたかな?
 余りの慌ただしさに、書くのすら忘れていましたわ。

・「聖☆お兄さん」(7)中村光 講談社
 何か弟子達がどんどんエラい事になって行く‥‥。
 今回のヒットはカンダダでした。

・「コミック怪 vol.16」角川書店
 うちの倅が「おじいちゃんと魔法の塔」がないとがっくりしておった。
「狂骨」はクライマックス前のまとめ部分。
「百器」は桑田さんがイメージ通りすぎてよろよろした。
「牛王」は怨霊や生物解剖図が色々とマニアックでよかった。

・「百器徒然袋・瓶長」 志水アキ 角川書店
 続けて読むとわかりやすいなぁ。

・「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」(23) 安彦良和 角川書店
 正直言って、セイラさんのはちょっと蛇足気味だったような。
 長らくご苦労様でした。ありがとうございました。

・「落第忍者乱太郎」(50)尼子騒兵衛 朝日新聞社出版
 うわ〜。もう、50巻なのね。
 水軍の就職試験を通し、人間が生き延びるのに必要なものが描かれてあって、ほんわかする内容でした。
 おまけマンガの雑渡昆奈門36歳が男前すぎて、改めて惚れ直した。

・「ONE PIECE」(74)尾田栄一郎 集英社
 過去の事件の真相、仲間達のパワーアップぶり披露。
 魚人島編、(子供にはついて来難い)結構重いテーマになって来ましたよね。
 どう解決するのか楽しみです。

・「ストーリーブック・リトルチャロ2」(3)
 テレビではまだの部分ですな。
 しかし、先に読んで泣いてしまったよ〜〜!

・「天才柳沢教授の生活」(32)山下和美 講談社
 最近特に、周囲の人々と教授の関わり方についての話が多いなぁ。

・「テルマエ・ロマエ」(4)ヤマザキマリ エンターブレイン
 ををっ!意外な展開だ!
 どうなるんだ?ルシウスさん?!

・「銀の匙〜Silver Spoon」(1)(2)荒川弘 小学館
 実は私「鋼の錬金術師」ほとんど読んでないんです〜〜!
 夫が「百姓貴族」を読んでまして、続刊されていないかと検索かけた結果、こっちが出たので、買ってしまいました。
 実は今回1番のおススメマンガです。
 成績を取る事のみに中学校生活を送っていた八軒君は、目標を見失ったが為に、あえて農業高校に進学します。
 偏差値が低いと内心軽く見ていたものの、将来にヴィジョンを持って専門分野では驚くほどの知識を持つ同級生達、決して教科書通りに進まない授業、生き物相手で早朝から当番をこなさなくてはいけない日々、そこは八軒君の想像もしなかった世界だったのです。
 苦しいけどその中から何かを見出す喜び、農家のキツい実情、ちょっと恋愛要素や友情も入りつつ、八軒君はここで何を掴むのでしょうか?
 ジャンボ君ちが農家なので、ぐんまま家は結構楽しんで読んでおります。
 弟の嫁もいきなりハマっておりました。


 あああ、活字も読まなあかんなぁ。


ここんとこ読んだ本(2011年9月)

  • 2011.09.30 Friday
  • 00:53
 JUGEMテーマ:読書 

 夏休みが終わってホッとする筈だった9月‥‥。
 連休と警報による休校で、夏休みが終わっていないような気すらしてました。
 ‥‥ホンマしんどかったです。

・天才柳沢教授の生活(31)山下和美 講談社
 全体的にお母さん話が多かったような気がします。
 ‥‥最近、お母さんに共感するなぁ。
 タマちゃんの手術とか、女3人の話とか、色々面白かったです。
 物語のクオリティが落ちてないのに感動しますね。

・「エロイカより愛をこめて」(38)青池康子 秋田書店
 ‥‥いかん、前の巻から読み直さなければ!
 ミーシャは昔、文学青年だったんでしょうかね?(笑)

・「ラブリー・ボーン」アリス・シーボルト アーティストハウス
 映画を見てから原作を読むと、映画はえげつない部分を上手くオブラートに包んでいたんだなぁと思います。
 これはミステリーではないので、犯人は逮捕もされないし、主人公の遺体は最後まで見つかりません。
 あくまで、犯罪で家族or友人を失うことで、残された人々がどのように傷と向かい合い、立ち直って行くかの物語なので、そう言う意味では皆が気持ちに整理を付ける事が出来るようになったところで「完」なんですねぇ。

 映画との比較は隠しておきます。

※10/2 セキュアの文章を一部変更


続きを読む >>

この解釈でいいのか?!「薔薇の名前」

  • 2011.09.16 Friday
  • 01:15
 JUGEMテーマ:読書

 ‥‥というわけで、夏休み中どうしても読む事が出来ず、夏休み終了後読破したウンベルト・エーコの「薔薇の名前」です。
 余りに馴染みのない時代背景と、改行の少なさに、前半は読書中眠ってしまった事も何度か‥‥。
 ただし、後半はかなりサクサクと読み進める事が出来ました。

 やっぱり、夏休みが終わったからかな?

 ※9/17 ちょっと色々書き足しました。


【時代背景】
 いわゆる「ローマ教皇のアビニョン捕囚」の時代。
 世界史で習った印象と「捕囚」という言葉の所為もあってか、アビニョンで教皇が
「ローマ恋しや、ホーヤレホ」
 な生活を送ってるものだと思い込まされておりましたわ。
 しかし、実際の処、イタリア人ではなくフランス人教皇の時代なので、
「ローマ?何、それ、だせぇ〜」
 と、教皇自らがフランス生活を満喫していたっぽいです。
 アビニョンの教皇と神聖ローマ帝国が対立している頃です。

 事件が起こったのは、アビニョン教皇庁時代2代目の教皇であるヨハネス22世の頃、1327年の11月。
(ちなみに、鎌倉幕府の滅亡が1333年、「アル・カサル」のドン・ペドロは1334年生まれなのだそうです。)
 免罪符の販売やら何やら、元手のかからない詐欺商法でぼったくりまくって、教皇庁はめっちゃ儲けまくっていたわけですな。

 そんな教皇側と対立するのが、清貧を旨とするフランチェスコ会派ですな。(多分)
 まぁ、思想上の対立というだけでなく、
「教皇はローマにいるべき!」
「フランス人反対!」
 というイタリア人的思想もあるようで、こちらは神聖ローマ帝国と手を結んでいます。

 で、教皇派には「異端審問」という反則技があったんですな。
 フランスにいてもローマ教皇な訳で、権威があるわけですよ。
 教皇に「異端」とレッテルを貼られてしまうと、会派を滅亡させられ、合法的に迫害され、拷問され、火あぶりにされてしまうと。‥‥これは色々嫌ですねぇ。

 で、ヨハネス22世は、自分に対し批判的なフランチェスコ会派を
「テメェら異端にしちゃうぜ!」
 と、脅したわけですな。
 これにはローマ皇帝も黙ってはいません。

 そこで、この両者の話し合いが北イタリアのとある僧院で行われる事になったのです。
 その仲介役がフランチェスコ会修道士のバスカヴィルのウィリアム(50歳位)です。
 メルクの男爵の息子であるベネディクト会派の見習い修道士アドソ(10代後半?)は、社会見学の為と親に勧められ、ウィリアムの弟子となって共に旅をしています。

 ウィリアムがホームズ、アドソがワトスン役となって物語が進んで行きます。

【あらすじ】
 僧院はキリスト教世界最大の文書館を持つと評判で、広大な敷地、彫刻などの装飾で非常に壮麗な作りの聖堂、宝石まみれの聖遺物を沢山所有しております。
 しかし、ウィリアム師弟が到着した僧院内では、文書館の若き細密画家のアデルモ・ダ・オートラントの不審死が影を差していました。
 状況を見るに自殺としか思えないのですが、修道士が何故自殺を?
 事件はこれだけで済むのか?
 僧院長のアッボーネは、ウィリアムの卓越した知性に期待し、会談が行われる前までに事件の解決を依頼します。

 ウィリアムは施療院の修道士ザンクト・エンメラムのセヴェリーノから文書館の話を聞き、事件の鍵となりそうなその異形の塔の中の文書館へ赴きます。
 そこで、文書館長のマラキーア・ダ・ヒルデスハイム、ギリシャ語の翻訳家でアリストテレスの研究者であるヴェナンツィオ・ダ・サルベメックや、修辞学生のベンチョ・ダ・ウプサラ、文書館長の補佐役のベレンガーリオ・ダ・アルンデルと知り合います。
 文書館でアデルモの描いた諧謔的な挿絵を目にし、思わず笑い出してしまった一同に、厳しい言葉で警告を発する人物がありました。盲目の長老にして聴罪師のホルヘ・ダ・ブルゴスです。
 笑いはキリスト教に於いて不必要である主張するホルヘと、事と次第によっては必要ではないかとするウィリアムは激しく対立しますが、已む無くウィリアムは年配者に譲ります。
 しかしその場を取り繕おうとしたベレンガーリオの発言に対し、ヴェナンツィオは微妙な言葉を投げかけます。

 そして翌朝、僧院に再び血腥い事件が起こります。

 次々に起こる凄惨な殺人事件、異端審問の噂、僧院内を調べるアドソが出会った貧しい少女との生涯ただ一度の恋、異端審問官ベルナール・ギーの登場、清貧論争の決着をつける会談、僧院内での異端者の摘発。
 意外な方向へ進む事件に、ウィリアムはある陰謀の影を嗅ぎ付け、僧院の歴史を追う事になります。

 事件の影に隠れた真実とは?


【構成】
 まぁ、本筋はアデルモの不審死から始まる連続殺人事件の真相を追う、ウィリアムとアドソの物語ですが、その会話に時代背景が語られていたり、異端に対する認識の違いが語られていたり、「笑い」に対する教義上の見解の相違の会話があったり、異端審問の噂話が延々と語られていたり、とにかく、本筋でない部分が圧倒的に多いのです。

 ‥‥そう、まるで京極夏彦の「京極堂」シリーズのように。

 中世期の物語であるにも関わらず、ウィリアムは非常に現在的な思考の持ち主です。
 中世に一人だけ現代人がいるような感じです。
 非常に現代的な感覚からすれば常識的な事を言ってるんですが、彼の言動は「奇矯」ととられ、推理力は「魔法でも使ったかのよう」と感じられてしまうわけです。
 その辺も「京極堂」っぽい。
 むしろ「京極堂」の方が、こっちのオマージュなのかな?

 で、結構描写が痛い。(スプラッター的な意味で)
 特に異端審問の話は、僧院内の殺人事件より残酷度が高いです。
 ‥‥‥読んでても、痛いよ、描写が。
 何か唇が鉄臭くなる〜〜。

 実在した審問官のギーは、かなり嫌な奴ポジションです。
 彼とウィリアムの舌戦がまたすごい。
 現代人の感覚を持つ論理的なウィリアムと、現代の検察もやってそうな相手の言葉尻を掴んで追いつめて行く中世人のギー。
 ギーの異端審問シーンは‥‥怖いです。

 以下はネタバレのため、隠します。


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ここんとこ読んだ本(2011年8月)

  • 2011.09.11 Sunday
  • 23:21
 JUGEMテーマ:読書

 夏休み‥‥それはホンマに私から読書やお絵描きやお勉強の時間を奪う魔の期間でした。
 図書館で借りた本が、あんなにあんなにあんなに読めなかったなんて〜〜!

・「コミック怪」vol.15 角川書店
「狂骨」は登場人物が出揃った‥‥って感じですね。
 幼少白丘さんが可愛いです。
 うちの倅が「おじいちゃんと魔法の塔」にハマり、原作本を買って読んでおります。

・「狂骨の夢」(2)志水アキ 角川書店
 連載時にも言ってましたが、宇田川先生が格好良い!
 これは惚れる。

・「ぼのぼの」(35)いがらしみきお 竹書房
 35巻目にして、初のぼのの恋愛編。
 おまけに三角関係だ!!!!
 やってくれるぜ、いがらしみきおさん!!

・「風雲児たち〜幕末編」(19)みなもと太郎 リイド社
 安政の大獄の犠牲に、ついにあの男、吉田松陰が!?
 私は橋本左内の死のあたり、結構胸を締めつけられましたなぁ。

・「ONE PIECE」(63)尾田栄一郎 集英社
 巷であまり評判のよろしくない「魚人島編」ですが、まとめて読むとやっぱり面白いと思います。
 連載より、単行本でまとめて読んだ方が、何を伝えたいのかわかりやすいですよね。
 欲を言えば、話のテンポがやや早いのは、読者アンケートを気にしての方針なのかしら?
 魚人の未来を考えてはいるものの、手段と目的が微妙に異なるオトヒメとタイガーが哀し
すぐる!!
 ‥‥でもホーディに漂う小物感が‥‥‥‥。
 大口を叩く小物昆虫幹部はOKなのに、ドーピング○○○が許せないのは、やはりドーピングして、しかも○○○だからなのかしら?

・「薔薇の名前」(上)(下)ウンベルト・エーコ
 最初は読むのが結構しんどかったっす。
 時代背景を把握出来なかった時はチンプンカンプンだったけど、wikiで一通り調べてから読むと、かなり楽しく読めました!!
 ある修道院での連続殺人事件を調べる事になった修道士ウィリアムと弟子のアドソの物語なのですが、本筋よりもはるかに多い、時代背景についての話や、異端審問についての話、記号論の話が面白いのです。
 京極堂の「鉄鼠の檻」の元ネタはこれじゃないか?と、ちょっと思います。
 これを読む為に色々調べたので、今度これだけ別記事にしますね。


 ちなみに、今は「ラブリー・ボーン」を読んでおります。
 映画よりも色々と濃ゆいです。

ここんとこ読んだ本(2011年7月)

  • 2011.08.16 Tuesday
  • 23:47
 JUGEMテーマ:読書

 夏休み、それは私に読書の時間を与えてくれない期間であります。
 図書館で「薔薇の名前」を借りていたのですが、冒頭部分がややこしいのと時間がなさ過ぎたのとで、延長までしたのに読み切れませんでした。
 ‥‥‥‥屈辱!
 下巻に入り、やっと面白くなって来たのに!!!
 1回延長したので、1日以上経過してからでないと貸し出してもらえません。

・「贖罪」湊かなえ 東京創元社
「告白」「往復書簡」とこの作者のんを読んできましたが、多分、ここで一旦やめると思われます。
 ネット上の色んな感想を拝見するに、
「『告白』よりは読後感が良い」
 と言う意見が多かったのですが、私は逆でした。
 ある登場人物が、もう絶対許せん!!!!
 こいつの所為で、読後感最悪でした。
 とにかく登場人物すべて(脇の脇まで)が気の毒すぎる内容でした。
 まぁ、「本当の意味での贖罪とは?」とか、色んな感想もあったのですが、あの登場人物の造型の嫌っぷりのすごさに吹っ飛んでしまいました。

・「エマ」森薫 エンターブレイン
 下の弟の嫁が貸してくれました。
 物語のテンポが「乙嫁語り」ですねぇ。
 ‥‥‥‥買ってしまおうかな、これ。
 キャラクターの造型も、物語も、脇役も、描き込みもすべてがすんばらしい!



「薔薇の名前」は書店員時代にかなり売らせて頂いたのですが、アレ買ったお客様全員、ちゃんと全部読めたのでしょうか?

 感想は読後に書きますが、まず、訳が固めなのと、改行が少なくて字が詰め詰めなのと、原作のラテン語部分がカタカナ表記なのと、主人公コンビ以外の登場人物の名前がやたらややこしいのと、余り日本ではメジャーでない時代のメジャーでない事件が下敷きなもので読み難いのですよ。

 私がアホな所為もあるのでしょうが、主人公達が参加しなくてはいけない話し合いの主旨が、下巻までも一つ理解出来てませんでした。
 で、主人公達側の教義と、相手の教義の違いももひとつ理解出来ていませんでした。

 下巻に入ってやっとその辺がわかって来たのに〜〜!

 物語の本筋はある僧院内の連続殺人事件の真相を探るものなのですが、とにかく、本筋以外の方が長い!
 京極堂の「鉄鼠の檻」の禅宗の話の脱線ぷりは、私が「碧言録」好きなもので結構楽しく読めたのですが、こっちはわけがわからないので
「?????」
 状態でした。

 再貸し出ししてもらえるまで、アヴィニョンとか、異端審問あたりを調べておこう。

ここんとこ読んだ本(2011年6月)

  • 2011.07.06 Wednesday
  • 12:28
 JUGEMテーマ:読書

 忙しい!
 子供が多いと、やっぱり学校行事が多いです。

・「往復書簡」湊かなえ 幻冬舎
 ある事件を手紙を通じて語り合い、その真相や心情に気付く物語。
「告白」より、さわやかな読後感です。
 手紙と言えど、やはり真実は語られない‥‥けど、見え隠れする心情が雄弁に真相を語っていたりします。

・「乙嫁語り」(3)森薫 エンターブレイン
 スミスさんと薄幸の乙嫁タラスの物語。
 いやぁ、もう、ラストが衝撃すぎるよ!!!
「そういう習俗だから、仕方ないよね。」
 という割り切り方が、何とも切ない。
 そして、パリヤさんが作者さんに愛されておりますね。

・「獣の奏者 外伝 刹那」上橋菜穂子 講談社
 えげつない描写はありませんが、大人の為の「エリン」です。
 エリンとイサルの同棲や結婚、エサル師の甘くも苦い思い出。
 ある程度の年齢を重ねた方の方が面白いかと思いますね。


 今度「薔薇の名前」を読んでみようかな?と思っておりますが、2冊一気は難しいかな?
 私、本読み出したら、家事がおろそかになってしまうからなぁ。

折口信夫「死者の書」その3

  • 2011.06.05 Sunday
  • 23:35
 JUGEMテーマ:読書

 折口信夫の「死者の書」の感想、考察などの3回目です。
 今回はメインテーマである「執心と昇華」について考えてみます。

 物語はある死者‥‥大津皇子の魂が甦り、抱き続けていた執心を語る処から始まり、俤びとを描いた郎女の昇華で終わります。
 もう、ズバリですね。

 しかし、私個人としては、執心は解るのですが、昇華がもひとつ納得出来ないと云うか、消化出来ていない感じがします。(しゃれではありません。)

 で、各登場人物の執心について考えてみます。

 まず、あまりメインでない方々から。

 恵美押勝は権力と云う凄まじい執心を持っています。
 本文中では彼は権力を手中にし、わが世の春を謳歌している状態です。

 数年後、押勝は謀反人として殺されます。昇華ではなく、破滅ですね。

 大伴家持は権力の中枢にいるわけでもなく、落ちぶれているわけでもなく、
「自分には執心が足りない。」
 と、思っています。
 まぁ、いくつかの乱に関係者として名を挙げられつつも、さほどには落ちぶれず、浮いたり沈んだり浮いたりの政治家人生を歩んだ人なので、そんな描かれ方をしているのでしょう。
 彼の場合、万葉集の編纂、歌人としての成功が=昇華になるのかな?

 では、メインの方々。

 大津皇子の場合、死の間際に一目見た耳面刀自への思いが執心となっています。
 そして、絶えてしまった自分の血筋、名代を悲しみ、
「自分の子供が欲しい。」
 と、耳面刀自に似た郎女の所へ通ってしまうわけです。‥‥死者なのに。
 彼の場合、割に平均的な男性の欲望ですよね。

 で、郎女‥‥の前に、当麻の語部の媼の執心について。
 彼女の場合、「語りたい」執心です。
 先祖代々語り継いで来た「物語」を聞く者がいなくなる‥‥時代に取り残される悔しさ故の執心です。
 その彼女が見つけた知識欲という執心を持った無垢な存在、それが郎女です。
 郎女に何度も語りかける媼は、果たして本物の媼なのでしょうか?
 媼の執心が作った幻なんじゃないのか?とすら思えます。

 その媼が、皇子と郎女の仲媒人的存在です。
 ちなみに、人形劇では黒柳徹子さんが声をやってらしたのですが、‥‥‥‥めっちゃハマってました(笑)

 郎女の場合、最初は知識欲だったと思うのです。
 写経‥‥というと、現在でこそお固いイメージとか、年寄り臭いイメージがあるのですが、当時は、それこそ流行の最先端!外国の文章を写してるし!めっちゃインテリ!おっしゃれ〜!だったんじゃないのかと思うのです。
 つまり、郎女の知識は当時の最先端を行っていたわけです。

 しかし、家の周りの堅固な石城の塀と、郎女命のお固い乳母のおかげで、彼女は男女の事に非常に疎いまま育ってしまったようなのです。
 頭はいいけどおぼこいという、ある種の男子が萌えそうなタイプですね。

 しかし、写経中、彼岸の日に二上山に現れる俤びとの姿を観、彼女は写経する事自体より、それが楽しみになってしまう‥‥つまり、俤びとに恋をしてしまうわけです。
 何だか、現実の男子に恋愛感情を抱く事が出来ず、2次元に恋するオタク女子のようです。
 発願した千部写経が完成した彼岸の日、悪天候により俤びとを観る事が出来ず、彼女はその姿を求めて、思わず、出奔してしまうわけです。
 まさに、恋はハリケーン!

 結果的にその行動が、二上山に眠る大津皇子を起こしてしまうのです。

 郎女は語部の媼に大津皇子の物語を聞き、俤びとの素性を知ってしまいます。
 死者が閨を訪れる夜、彼女は恐ろしいと思いつつも、ときめいてしまう。
 しかし、思わず口にした称讃浄土経の文は、死者を遠ざけてしまいます。
 郎女はいつしか、その恐ろしい夜を待ちわびるようになるのですが、死者は経文ゆえに近づく事が出来ません。

 ようやくその姿を見る事が出来た時、もう寒くなろうと云うのに、半裸(つか、ほぼ全裸)で訪れる彼の姿に、彼女は哀れみを覚えさえするのですな。
 この辺の郎女はまさに「恋は盲目」状態。郎女の執心は「恋」そのものに思えます。


 今度は昇華について考えてみます。
 こっちは、どうも解釈が難しいです。

 当麻の語部の媼は郎女につきまとい、自分の知る物語を語り尽くしたことで昇華出来たのでしょうか?
 語部の媼が郎女に干渉する事により、郎女と皇子は新たな物語を紡ぐ事となりました。
 それは昇華でもあり、新たな執心でもあるのでないかな?と私は思うのです。

 郎女は俤びとに贈る衣を作り上げ、それに感嘆の声をあげる乳母たちをおいて出て行ってしまいます。

 それは昇華なのでしょうか?

 その前の秋の彼岸の日に、彼女は声に出して俤びとの姿をはっきり観たいと望みます。
 その声を聞いて現れた俤びとは、初めて、正面から郎女を見詰め、何か言いたげに唇を動かすのです。

 このシーン。

 大津皇子の昇華は、自分を想う郎女の心を知る事により成就しました。‥‥したのかな?
 と、同時に、彼女が「大津皇子と想い合った耳面刀自」ではなく、「死者であり、現世の存在ではない自分をひたすらに想っている耳面刀自ではない郎女」だと知ったのではないかと想うのです。
「人ではない自分」を「想ってくれる」「郎女」を認める事が出来たとき、彼は執心から解き放たれ、昇華されたのではないかと思うのです。

 郎女の恋心と云う執心は俤びととの交流により、半ばは昇華されたと思うのです。
 ただ、彼女が抱いた哀れみの気持ちが解決されていない。俤びとは寒いままではないか!?という思いですね。
 それは絵の完成により決着がついたようにも思うのですが、どうなんでしょ?

 彼女は結局、俤びとの許へ行かなくては昇華出来なかったのかもしれません。
 それは、阿弥陀に迎えられることなのか、冷たい墓の中に入ってしまう事なのか、私には解りません。

 まぁ、そこは読む人によって、色々と解釈なり、納得なりするしかありません。

ここんとこ読んだ本(2011年5月)

  • 2011.05.30 Monday
  • 22:49
 JUGEMテーマ:読書

 4月は余りに慌ただしくて、ホンマに読書もままならない日々でした。
 5月もまぁ、ぼちぼち。

・「越女剣」金庸 徳間文庫
 金庸先生の短編集です。
 う〜ん、よくも悪くも金庸でした。男装女子、秘宝、秘伝、突然強くなる主人公、と、いつものパターンですな。
 今回は失恋要素が高いんですが、どうして金庸のヒロインは、一人の男しか見えないのでしょうか?もっと周りを見ろよ!!!もっと幸せになれるぜ!と、ちょっと言いたい。
 あと、さりげない読者サービスなんぞもあります。

・「コミック怪 vol.14」角川書店
 現在行方不明中で読み返せていない‥‥‥。
 とりあえず「狂骨」は佳境に入ってます。

・「死者の書・口ぶえ」折口信夫 岩波文庫
「死者の書」は別に細かく書いてるので、「口ぶえ」の方。
 作者の自伝的作品で、BLです。
 強引なマッチョ先輩と繊細な同級生の間で揺れる男心がいい!
 こっちの方が実はかなり読みやすかったりします。

・「テルマエ・ロマエ」ヤマザキマリ ビームコミック
 今回は平たい顔族に教えるルシウスさん。
 古今東西を問わず、設計者を悩ませる無茶な依頼者や、命を狙う山賊たちも、もはやルシウスさんの敵ではない!(笑)

・「ONE PUECE」(62)尾田栄一郎 ジャンプコミック
 今回はルフィたちのパワーアップ振りの紹介と、魚人島編に新しく登場する人たちの顔見せです。
 まだまだ魚人島編もプロローグですね。
 最近の雑誌の展開を知ってるからそう思えるんですが、初見時はいきなり新キャラがバタバタ登場するので、ちょっと混乱しました。
 とにかく、サンジさんのネガティブ化が気の毒すぎる!!

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