『蝶のみちゆき』

  • 2018.02.27 Tuesday
  • 01:49

JUGEMテーマ:読書

 

 久々の読書。‥‥と、言ってもマンガです。

 

 私の興味あるジャンルと言うんでしょうか‥‥「遊郭」ものですね。

 絵がキレイで、ネットでの評価も良かったので、手にとりました。高浜寛さん作『蝶のみちゆき』です。

 

●あらすじ

 幕末は長崎丸山遊郭。

 太夫の几帳は一度身請けされたものの、遊里に戻って来た身の上であり、かなりの売れっ妓でありながら、異国人や嫌われ者の金持ちの相手もする、金さえあれば客を選ばない遊女であります。

 一方、病の父を抱える健蔵は、出島のトーン医師の好意で医学への道に進んでいますが、恨んでも恨みきれない相手がいます。それは父に多額の身請け金を払わせておきながら、父が病に倒れた途端、見捨てて逃げた義母のこの葉です。

 ある日健蔵が丸山で見かけたこの葉は、果たして几帳でした。

 几帳の真意と健蔵の思い、そしてもの言えぬ健蔵の父源一郎の気持ちが交錯する切ない物語です。

 

●ネタバレなし感想

 とにかく、建物の雰囲気がリアル!

 置屋の廊下、暗い布団部屋、華やかな座敷等、建物の描かれ方が非常に細かく描かれています。

 この物語で印象的なのは窓や縁側と言う、建物と外の境界部分の演出です。

 話の要所要所場面で意図するしないに関わらず「見る」「覗く」がポイントとなっておりまして、冒頭の部屋から縁側の二人の子どもが遊んでいる光景、天神社で健蔵が覗き見た光景、あの日に源一郎が縁側から見ていた風景、トーン医師が自室の窓から見た病室の窓の向こうの光景など、重要シーンはどこかから誰かが見た光景なのです。

「蝶のみちゆき」というタイトルでおおよその内容は見当がつく方もいらっしゃるでしょうが、‥‥まぁ、そういう物語です。

 

 

●超ネタバレ感想

 ‥‥は隠しますね。

 

 

 冒頭の意味する所は最終章でわかるんですが、非常に切ない愛情の物語です。

 几帳は終始源さんに一途なのですが、一途故に他の男に身を任せざるを得ず、源さんに会う事すら出来なくなります。

 源さんはセリフも何もないので、どう思っているか、何故そうなったのかは読者が想像して補完しないといけないのですが、病状が悪化する直前に遊女の歌に反応していたり、臨終前のどこかしてやったりという表情は、几帳‥‥この葉を終始気に掛けている事の現れだと思います。源さんとしてはこの葉が逃げたのかそうでないのかという事より、自分の親の所為でこの葉が苦海に身を沈める事になった申し訳なさと悔しさの方が、大きかったのではないのかなぁと思うのです。

 臨終前のあのシーンは、心の奥底で相手を思い続けつつ、お互い相手に申し訳ない想いを抱いていた二人が、ようやく和解‥‥でもないなぁ、お互いの気持ちを理解出来たのだと思うのですね。

 ただ、二人の愛情は周囲を結構傷つける事にもなってしまっていて、そこがまた切ないのですけどね。

 

 リアルに芝居や映画になっても、いけそうな内容です。

スポンサーサイト

  • 2020.09.16 Wednesday
  • 01:49
  • 0
    • -
    • -
    • -
    コメント
    コメントする








        
    この記事のトラックバックURL
    トラックバック

    PR

    calendar

    S M T W T F S
      12345
    6789101112
    13141516171819
    20212223242526
    27282930   
    << September 2020 >>

    Twitter

    お天気

    氷と炎の歌

    ブクログ

    selected entries

    categories

    archives

    recent comment

    recent trackback

    links

    profile

    search this site.

    others

    mobile

    qrcode

    powered

    無料ブログ作成サービス JUGEM